オススメ度 ★★★★☆(4・0)
「戦争で人が死ぬのは当たり前じゃない。」
2007年
ベルリン国際映画祭で監督賞を受賞。また今年
モンゴルと同じアカデミー賞の
外国語映画賞にノミネートされたイスラエル映画。舞台は緊張状態が続くレバノン南部にあるボーフォート砦。
■2000年。小高い山の上に建つイスラエル軍の前哨基地ボーフォート。レバノンと緊張状態にあるイスラエルがレバノン南部を襲撃し建てた基地には数十名の若いイスラエル兵が敵地を偵察し、代わる代わる見張りをしていた。ボーフォートを任された若き指揮官リラズは兵をまとめ、リーダーシップをとるが、若い兵たちは地雷撤去の失敗や見えない敵の襲撃に次第に精神を病んでいく…。
イスラエル舞台の戦争映画です。個人的に戦争映画を観るのは久しぶり、嫌いではないけど、戦争映画はあまり好んで観ません。監督自身の体験も織り込まれた、実際のイスラエル紛争をテーマにした映画。この映画の舞台、敵地レバノン南部にあるボーフォート基地は鉄板とコンクリートで作られた殺風景な人口物の塊。敵の砲撃を監視するモニター室、兵士が眠る場所、偵察台、通路、どれもリアルで良くできた造り。それもそのはず、実際のボーフォート基地を作った人たちが映画のセットを作ったそうです。
そのボーフォート基地で偵察活動を行っているのが、若いイスラエル兵たち、みんな若い。特にリーダーをしているリラズという役の俳優はイケメンです。イスラエルのイケメンです。それはいいとして、実際の出来事をテーマにしたボーフォート基地からの撤退までを描いたこの映画ですが、実際の出来事だけに、それほどドラマティックな出来事や、シネマティックで壮大な出来事は起こりません。でも実際に敵軍の砲撃が四六時中降り注ぐ場所で、2000年の近い過去にとある国で起こった若者たちの苦悩やストレス、憂鬱みたいなものは伝わります。こんな精神を病む場所は滅多にありません。ある日毎日顔を合わせていた友同然の仲間が突然砲撃を受け、無残な姿で死ぬんです。現段階戦争とは無縁の平和な日本ですが、友や仲間が、予告なしに目の前で死ぬ、というのは想像しただけでも、その辛さは理解出来ます。そんな物語です。
やっぱりどこの国でも戦争で人が死ぬのは当たり前じゃないようです。今でも世界では戦争を辞めようとしない国がありますが、なぜそんなに無益で、無意味で、酷い殺し合いを続けているのか、それは彼らにしか分からないことだけど、そんな国に生まれてしまった、最先端の兵士たちにとってはやっぱり、人の死は辛く、耐えられないことなのです。
この映画はアカデミー賞で外国語映画賞にもノミネートされています。ほかにノミネートされた作品では
モンゴル(カザフスタン他)を観賞しましたが、その他、外国語映画賞を受賞した
ヒトラーの贋札のほか、まだ日本での公開などが未定な
カチン(ポーランド)
12(ロシア)というタイトルから気になる映画があります。
13(フランス/グルジア)という映画もありましたが、まったく関係無さそうです。イスラエル絡みの映画も最近観てまして、
迷子の警察音楽隊、
フリー・ゾーン 〜明日が見える場所〜などを観ました。
監督 ヨセフ・シダー
(ボーフォート -レバノンからの撤退-)
キャスト オシェリ・コーエン、イタイ・ティラン、オハド・クノラー、アミ・ワインバーグ、アロン・アブトゥブール、エリ・エルトーニョ、イタイ・ジェマン
イスラエル(2007)原題 BEAUFORT
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