ALIEN 評価 9
「エイリアン2」しか今まで観たことがなかった「エイリアン」シリーズを突如観たくなり1~4作品すべて鑑賞しました。鑑賞したのは去年のことです。1作目「エイリアン」、SFホラーの傑作、監督はご存じリドリー・スコット。
1979年の作品 2087年。地球へ帰還途中の貨物宇宙船ノストロモ号は未知の惑星から放たれた救難信号を受信。荒涼としたその惑星で大型の廃宇宙船を見つけ中を散策するとそこには無数の何かの卵があった。船員の一人がその卵から孵化した生物に襲われ、生物が顔に付着したままノストロモに帰る。再び航海に出た船だが生物の幼体が襲われた船員の体内に産み落とされており、船員の腹を突き破る。逃げた幼体は脱皮を繰り返し、凶暴な生物に成長、そして船員たちを一人また一人と餌食にしていく…・
という有名なお話ですが、子供の頃一度は観たことあるのでは、と思ったけど、記憶になかったですね。観るもの観るもの新鮮。これをお手本にいろいろな映画、ゲーム、などなどが作られていると思いますが、予算が少なくエイリアンは一部黒いビニール等で誤魔化しているそうですが、それでも全然、恐怖だし、シーンを暗くしてるのもエイリアンの粗さを目立たなくさせている部分もあるかも知れないけど、宇宙空間に孤立した船員たちの恐怖がすごい再現されています。宇宙船内部のセット、アンドロイド、遠い未来の宇宙で働く人物、宇宙進出した企業の設定なども後の作品にかなり影響を与えてそうですね。劇中の主人公リプリーたちの雇い主は未来の日系企業“ウェイランド湯谷”。
あとは何と言っても主人公リプリーを演じているシガニー・ウィーバーの好演ですね。女性らしさはある程度保ちつつ、しかし宇宙で働く、しかも正体不明の生物に奇襲され仲間が死んでいく窮地に性別を超え、恐怖に打ち勝とうと努力し、果敢に挑むヒロインが素敵です。
ALIENS 評価 8
1986年の作品 2144年。未知の生物の惨劇から57年が経ち、冷凍睡眠状態で宇宙空間を漂っていた生存者のリプリーはようやく発見された。本社で自信が体験した忌まわしい出来事を説明し、あの惑星の危険を説くリプリーだが、その惑星はアチェロンと名付けられ貴重な資源確保のため数世帯の人々が暮らしているという。そしてアチェロンとの連絡が途絶えていることが判明し、リプリーは億劫ながらも現地を知るアドバイザーとして兵士とともにアチェロンへと再び向かう。
というストーリー。監督はジェームズ・キャメロン。こちらは何度かテレビで拝見していたと思いますが、子供の頃だったようで、やはり今観ると違いますね。意外にも初めて観る映画と同じ感覚だった。前作では宇宙船に潜り込んだエイリアンは一体でしたが、今回は例の惑星に建てられた居住施設が舞台。なのでエイリアンが数多く登場します。そして人間側もそれに備え、兵士を引き連れ、兵士、重火器も数多く登場するアーミー・アクションの要素が盛り込まれている。こちらも人気作品ですが、やっぱり1作目とは比べられないですね。1作目のあの演出、恐怖は超えられない。でもこちらはエイリアンも多いし、激しい銃撃戦や未来的な飛行船、装甲車なども登場し、文字通りパワーアップはしております。今作でエイリアンのマザーもクライマックスで登場しますからね。未来の武装した兵士たちの風貌、やりとり、80年代映画の良い雰囲気が出てます。この作品も後の映画に影響を残しているでしょう。
今作では更にリプリーがヒーロー化しており、終盤の戦いは素晴らしいですね。57年眠ったままだったリプリーが地球に戻ると娘は年老いていて自分より高齢ですでに死んでいたという冒頭の語りなどはとてもSFチックで、もの悲しく心を打つ演出ですね。
ALIEN
3 評価 6
1992年の作品 満身創痍でアチェロンから逃げ延びたリプリーたちは再び冷凍睡眠に入った。2270年。船は何らかの異常をきたしスラコ号は惑星フィオリーナ161に不時着。その星の施設で目覚めたリプリー。そこは囚人たちが過酷な環境で労役する監獄惑星だった。なぜスラコ号は故障したのか、謎を解明しようとするリプリーに再びエイリアンの恐怖が迫る。
という始まり。監督はこれが初監督作のデヴィッド・フィンチャー。粗暴な男たちが使役する施設で紅一点のリプリー、しかし幾度の戦いでそんな男たちに一切ひるまない最強ヒロイン、リプリー。そしてエイリアンの襲撃、囚人たちをまとめあげこれを退治しようと頑張るが、なかなか男たちも粗暴でひともんちゃく、ふたもんちゃく、という感じですね。リプリーが頼れるスーパー・ヒロインなのに対し、エイリアン初対面の男たちは仲間というか、かなり目立たない感じになってますね。
今作で登場するエイリアンは2に比べ逆に少なく数体。しかし前作にないオリジナリティのあるエイリアンで犬(筆者が観たのは完全版なので牛)に寄生した幼体が暴れるので、ドッグ・エイリアン、四つん這いでスゴイ速さで動くエイリアンが登場します。個人的にはドッグ・エイリアンにもあまり魅力を感じず、エイリアンも少なく、また武器が一切ないという過酷な設定だけれど、そこが前作よりパワーダウンに感じられ、かと言って1作目のようなSFホラーとして、極上の恐怖を味わえるかと言うとそれもなく、かの「エイリアン」シリーズの続編にしては残念な印象です。今作では坊主頭のシガニー・ウィーバー演じるリプリーの存在感だけが見どころです。
ALIEN: RESURRECTION 評価 8
1997年の作品 2470年。監獄星刑務所フューリーでエイリアンを身に宿し溶鉱炉へ身を投げ絶命したはずのリプリーは200年後の実験宇宙船オーリガで目を覚ます。科学者たちはフューリーに残ったリプリーのDNAを使い彼女をクローンとして甦らせたのだった。リプリーに宿るエイリアンを復活させ軍事目的に利用するためだった。しかし実験体の凶悪なエイリアンが檻から逃げ出し、リプリーは本能的にそれを駆逐しようとする。
という始まり。監督は後に「アメリ」を撮るジャン=ピエール・ジュネ。ストーリーは上記の設定だけでなく、エイリアンの宿主になるために運ばれてきた生きたままの人間を貨物に乗せてきた貨物宇宙船ベティの船員たちも実験宇宙船オーリガでリプリーと出会い、エイリアンの恐怖にさらされ、ともにリプリーと戦うというのも重要なポイント。前作ではリプリー以外のキャラがあまり立っていませんでしたが今作宇宙船ベティの乗組員を演じるウィノナ・ライダーやロン・パールマンなどの活躍なども楽しめる。ウィノナ・ライダーの役はすごい良いですね。
前作で少しエイリアンサーガがちょっと物足りなく、マンネリに感じましたので、4はいかがなものかと思いましたが、これがこれが、個人的には3より全然好きです。79年から始まるエイリアン映画ですが、今作ではフルCGのエイリアンも登場し、作り物のエイリアンもリアル、でとびっきりグロテスク、人間が襲われる残虐シーンなども過去作より群を抜いてグロテスクです。グロテスクなら良いといいう訳ではないけどそれはもうグロテスクですね。
今作では水中を泳ぐエイリアンも登場し、エイリアンと人間のハイブリッド“ニューボーン”も登場、とってもグロテスクなエイリアン・マザーも登場し、目にも飽きない、監督の映像美も見どころ。仲間たちとの協力、エイリアン繁殖のグロテスクな実験、ちょっとひねりの効いたストーリー。4作目は予想以上に面白かった。
そして今年2012年、エイリアンサーガの前章譚である「プロメテウス」が1作目のリドリー・スコット監督で日本では8月 公開です。
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